近年、自分たちが日頃楽しんでいるフィールドで、オフシーズンに魚たちの保護・増殖活動に参加する釣り人が増えている。禁漁後でも渓魚と関われる喜びと好評である。
代表的なのは、全国の渓流河川で定着しつつある人工産卵場(床)造成や発眼卵埋設放流。以前本誌でも紹介したように、私が所属している山梨県峡東漁協大和地区でも、人工産卵場の造成は毎年恒例のイベントとなっている。
【川を耕す人工産卵場造成】
去る10月15日、今年も予定通り人工産卵場造成を行った。監督、指導には中央水産研究所より坪井潤一氏、県水産技術センター三浦正之氏、県漁連大浜秀規氏と磐石のメンバーである。
朝からまとまった雨が降っていたものの、昼頃には止む予報であったので、作業は午後に後回し。まずは坪井氏より今シーズンの調査結果や渓魚の話をうかがった。その後、ドキュメンタリー映画『ミルクの中のイワナ』(来年より一般公開の予定なので是非見てほしい)の上映。ランチを挟んで雨が止んだ午後より造成を開始した。
人工産卵場の作業は、鍬や鉄熊手などで川底の目詰まりした石を浮かして耕し、泥などを洗い流した後で、やや大き目な石を集めて入れる。その上に細かい礫を被せれば出来上がりだ。参加した皆さんは手際も良く、初参加の方々には坪井氏より丁寧なレクチャーがあった。
釣り方は違えど、皆の思いはひとつ。渓魚たちにも、十分に我々の思いが届いたと思う。こうして、新たな出会いや繋がりの場となるのは嬉しい限りだ。
【街中を流れる川での発眼卵埋設放流】
それから約1ヵ月ほど経った11月19日、所が変わって神奈川県を流れる中津川へ、発眼卵埋設放流のお手伝いに仲間と出かけた。
気持ちの良いお天気で温かく、動くと汗ばむほど。集合場所にはザンマイルアーズの代表でキャッチ&クリーン発起人小平豊氏、漁協の木藤組合長、盟友木岡氏をはじめ、仲間や多くの方々が参加した。
関係者による説明と死卵の選別作業後、2組に分かれて、それぞれが担当する上下本流へ移動。こちらも前日に川を耕したそうで、石が所々洗われていた。
データに即した場所を選び、川底を掘り返して籠を埋設、あるいは塩ビパイプを通して直接発眼卵を入れる2パターンで行い、その上にマークした石を置く作業を繰り返す。
水温は冷たいが心は熱く、帰り際には細い支流へ少し卵を入れて、無事に作業は終了した。来年早々に掘り返し調査もあると聞き、無事に稚魚となっていることを祈って帰路に着いた。
(写真と文◎若林匡久)
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