5㎝の渓流ミノーがハマった日
写真と文◎高橋伸雄
6月上旬、私のホームリバーである鬼怒川へと出掛けた。
今季は、5月下旬頃からなかなか思うような釣果が出なかったので、思い切って鬼怒川漁協管轄内の上流部を釣り場を選択した。当日は、雨後の増水からの引き水という絶好のタイミング。朝一、目的のポイントに着くもすでに先行者の影。ポイントを変えてスタートすることに。平日にもかかわらず、朝4時着で先行者がいたのには少し驚いた。やはり上流部は人気があるようだ。目的のポイントが撃てず、少しだけ肩を落としたのも束の間、移動したポイントであっさり35㎝の本流ヤマメが相手をしてくれた。釣り方は、7㎝のヘビーシンキングミノーの連続トゥイッチ。それにしても、さすがにこの時期の鬼怒川本流ヤマメだ。ファイトも激しく、その厚みのある魚体に見惚れた。
気分を良くした私は、別のポイントへ移動。朝一番で誰かが叩いた後だろうと判断し、本流ではあまり使われることがないであろう『イメル50S』を選択。理由は下記の三点。
①.細かく浅いポイントをメインに撃っていくため
②.タダ巻きでもレスポンス良くアピールさせるため
③.プレッシャーを考慮したダウンサイジングの5㎝
要するに、プレッシャーを考慮して竿抜けを細かく攻め、目線を少し変えて魚を反応させてやろうという魂胆である。移動したポイントでは、いつも入る一級ポイントはあえて後回しにし、二級ポイントからスタート。ここなら叩かれていない可能性が高い。すると、すぐに尺近いヤマメのライズを発見! その上流からアップにルアーを投げて連続トゥイッチで誘うと。『ズドン!』と強烈なアタリがあり激しく抵抗された。ネットに収まったのは、遡上系のような大きな鰭が印象的な32㎝の尺ヤマメであった。
そして次のポイントへ。先ほどよりも水深があるので『イメル50S』をしっかりボトム付近まで沈め、浮き上がらないように優しくトゥイッチを掛けて誘う。すると、良型のヤマメのチェイスが見え、カケアガリに差し掛かったところで少し強めにアクションを掛けるとガツンとバイト! 暴れる魚体をいなしネットイン! 31㎝、3尾目の尺ヤマメが釣れた。
こうなるとやや冒険心も出てくる。そこは、一見なんの変哲もない浅い瀬であるが、よく見ると深みがある場所。実は、昨年37.5㎝の本流ヤマメを釣り上げたポイントだ。私の理想の本流ヤマメとして、本誌に掲載したあの魚である。『イメル50S』をドリフトさせ誘う。すると、『ゴンッ!』とバイトがあったが、乗らない……、やはりスレているようだ。そこで、もう一度『イメル50S』をドリフトさせると、チェイスする魚体が確認できた。ルアーを追い切れなくなる浅瀬の手前でワンアクション! 次の瞬間、『ドスッ!』とした重みがロッドに乗る。激しい抵抗になかなか上がらなかったのは、サイズこそ34㎝と昨年の魚には及ばないものの、素晴らしい魚体の本流ヤマメだった。
ここまで尺ヤマメを4尾。あと1ヵ所、居着き系のヤマメのポイントがあったので、そこを攻めてから納竿することに。5㎝のヘビーシンキングミノーを、アップからのドリフトで攻めると、果たして31㎝の尺ヤマメがネットイン。本来なら予定通りここで帰ってもよかったのだが、ラスト一ヵ所、遡上魚が止まるポイントが気になったので、そこを本当のラストに。流れの落ち込みから急激に浅くなるポイントのカケアガリを、丁寧に『イメル50S』でドリフトさせると、『グンッ!』とロッドが絞られた。激しく首を振り抵抗する感覚からするに、なかなか良いサイズであるのは間違いない。実に、6尾目となる35㎝の遡上系のヤマメを手にすることができた。
一日に6尾の尺ヤマメを手にしたのは、もちろん今回が初めて。プレッシャーも高く簡単には釣れてくれない鬼怒川ではあるが、「日々の努力に応えて微笑んでくれたのかな」などと思い、気分良く帰路についた。
【使用タックル】
●ロッド=ティムコ・パスプルーバーPRV67SL-2
●リール=シマノ・ヴァンキッシュC2500SHG
●ライン=PEライン0.8号
●リーダー=フロロカーボンライン6lb
●ルアー=ティムコ・イメル50S、Dコンタクト50、トリコロール流芯HW70
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