本誌秋/冬号で紹介したハンドメイドブランドの「流神」。山口県の錦川で生まれたサツキマス用ミノー「雷(らい)」が人気だ。ビルダーの上村勝久氏は、この川とサツキマスをこよなく愛す熱血漢で、管轄漁協や地元の仲間たちと一緒になって、サツキマスの保護活動にも注力している。
錦川のサツキマス、そして上村氏の工房を取材すべく岩国を訪れたのは、今年の5月31日~6月1日の2日間。天候にも恵まれ、無事サツキマスも釣れ、取材は大成功のうちに幕を閉じたのだが、個人的にはもうひとつの大きな目標があった。
それは、錦川のシンボルとも言うべき「錦帯橋」の写真を撮影すること。ご存知の方も多いかと思うが、錦帯橋は、山梨県大月市の「猿橋」、富山県黒部市の「愛本橋」と並んで“日本三奇橋”と呼ばれている。奇橋とは、読んで字のごとく、橋の構造が一般的なものとは異なる橋のことで、なかでもこの3つの橋は珍しい構造を持った橋である。
猿橋は、橋桁がないのが大きな特徴で、両岸からせり出した「はね木」と呼ばれるものによって橋が支えられている。安藤広重の「甲陽猿橋之図」にも描かれた名勝である。
愛本橋も橋桁がない刎橋(はねばし)で、かつては全長63メートルもあったとのことだが、1969年の豪雨で流失し、現在は架け替えられた12代目のものだと言う。
そして錦帯橋は、五連の反り橋が特徴の木造橋で、その構造は世界的にも類を見ないと言われており、水流に対して流線型の橋台とアーチが美しい。大正時代に国の名勝に指定されている。
前置きが長くなったが、これまで、猿橋と愛本橋は何度も訪れ、写真にも収めていたのだが、この錦帯橋だけはなかなか訪れる機会がなかった。その夢が、今回の取材で無事叶ったというわけだ。
それにしても、日本を代表する大ヤマメの川に架かる猿橋、国内最大のサクラマスが遡上する黒部川に架かる愛本橋、そしてサツキマス最後の楽園に架かる錦帯橋……。
珍しい橋が架かる川は、豊かな魚を育む、釣りの名川であるのかもしれない。
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