2024 NEW MINNOW 開発速報 『Nabia62FS(ナビア62FS)』(ティムコ)

本流のボトムレンジを直撃するハイアピールのファストシンキングミノー

語り手◎田崎 翔(開発プロモーション課) 聞き手◎Gijie編集部

来るべく2024シーズンに向けて目下開発中の新製品『ナビア62FS』について、同社の田崎翔氏に聞いてみた。

『ナビア62FS』(プロトモデル)
『ナビア62FS』(プロトモデル)

【個性的なルアーを輩出する背景】

編集部:ここ数年、ある種マニアックというか、きわめて個性的でこれまで市場にないタイプのトラウトルアーをリリースしているように感じるのですが……。とくに2020年に発表された『ラクス60S』以降、渓流用の『ラウド45S』、そして今年の『ナビア50FS』『ルレイ62S』など、続々とラインアップされている印象がある。

田崎:そうですね。弊社ではネイティブトラウト用のルアーといえば、サクラマス用の『シュマリ』シリーズぐらいで、渓流用のルアーはほとんどなかったですね。ちょうどコロナ禍の影響や渓流ベイトフィネスのブームもあって渓流に注目が集まっている時期でしたから、アイテムを増やさないと……という方向性が社内的にもありました。あとは、開発の僕が渓流のヤマメが大好きなもんですから(笑)

編集部:そのあたりの流れはティムコさんに限らずといったところですが、リリースされたルアーが個性的というか、現場の細かなシチュエーションにマッチしているというか、興味深いタイプが多いですよね。

田崎:ありがとうございます。先ほどいいましたが、弊社は渓流用ミノーでは後発というか、出遅れた印象があったので、そのあたりのイメージを払拭するためには、個性的である種とんがったものが必要だと思っていました。ただ、これだけの種類のミノーが市販されている状況でとんがったものとなると、なかなか思いつかないんですよね。そこで、自分が普段釣りをしながら『こんなものがあればいいのに……』というものを製品化することにしたわけです」

編集部:以前は『ヴィクセン』という超人気ミノーがあったんですけどね(笑)。それはさておき、そこで『ラクス』からの新しい流れができるわけですね。4年弱ぐらい前の発売ですが、6㎝で5.8gのシンキング、しかもフラッシング強めのヒラ打ちミノーというコンセプトが面白かったですね」

田崎:ありがとうございます。僕がよく行く桂川のように、渓流を少しスケールアップしたような釣り場で使うヒラ打ちミノーがちょうど市場に少なかったんですよね。そこで開発に踏み切りました。もちろん7㎝ボディにスレた魚も想定していましたが……。

編集部:そうですね。40㎝クラスのヤマメやアマゴ、レインボーやブラウンなどに対応する准本流域用とでもいえばよいのかな。ルアーだけでなく、ロッドもこのあたりは品薄ですね。遡上魚の釣りが芳しくない傾向だっただけに、市場としては渓流に次いで一番あついところなんですけどね。

田崎:その後にリリースした『ラウド』にしても、『ナビア』にしても基本的には同じ考え方です。前者は渓流のアップストリームでバタバタと暴れて存在感の強いミノーが欲しかったし、後者はただ重たいだけじゃなくて、操作性に優れたヘビーシンキングミノーが必要だと思いました」

【深場での強いアピールとレンジキープ力】

編集部:ここまでのだいたいの流れがつかめたところで、そろそろ本題に入りましょう。2024シーズンに向けて、新しいミノーがあるようですね。

田崎:はい。今春出した『ナビア50FS』のアップサイズモデルとなる『ナビア62FS』です。本流の大物をターゲットにして目下開発中です。

編集部:先ほどの『ラクス60S』と同様、ティムコさんが得意な6㎝シリーズに、また1アイテム加わるわけですね。どんなコンセプトなのか説明してください。単なるアップサイズモデルではないですよね。

『ナビア62FS』はこの桂川など、中規模本流に最適なミノーだ。
『ナビア62FS』はこの桂川など、中規模本流に最適なミノーだ。

田崎=「6㎝シリーズ」って言っていただけてうれしいです。とくに力を注いでいる部分なので(笑)。そうですね。単なるアップサイズモデルではありません。簡単に言うと、渓流用の『50』がヘビーウエイトでも機敏に動く汎用性を求めたものだったのに対して、今回の『62』は《深場での強いアピールとレンジキープ力》を意識したモデルだと言えます。

編集部:ウエイトは何gですか?

田崎:現段階では7.1~7.4gになる予定です。62㎜というサイズでは十分なヘビーウエイトだと思います。

編集部:『50』と変わった点を教えてください。

田崎:一番の変更点はワイド気味なリップでしょうか。次の3点を想定しています。

①.水噛みを早くして泳ぎを素早く安定させること

②.水の抵抗を大きくする(=水押しを強くする)ことでスローリトリーブでもしっかりとアクションすること

③.レンジキープ力を上げること

編集部:潜行深度はどれくらいですか? シンキングなので、カウントダウンした後、通常のリーリング時で構いませんが。

田崎:ステディリトリーブでは100㎝±20㎝程度のレンジが一番得意だと思います。やや強めの引き抵抗なので、アングラーのタナボケ(=引いているレンジが自分が想定しているよりも上になってしまうこと)も少ないと思います。

編集部:ファストシンキングタイプなので、フォールはテールダウンですか?

田崎:基本的にはややテールダウンで沈下しますが、ラインスラックを使ってテンションをかけると、水平気味に左右に揺れながら落ちる「シミーフォール」を演出することも可能です。なのでアップクロスのアプローチで速く沈めたい場合には、少し巻きを入れると良いと思います。

編集部:ということは、同時にキャスト後のドリフトやスイングも操作しやすいということですね。

田崎:そういうことになります。ヘビーウエイトでも尻下がりでストンとは沈下しないので、魚への警戒心も最小限に抑えることができると思います。

編集部:トゥイッチを掛けた時のフラッシングはどうでしょう? 『50』譲りですか?

田崎:そうですね。『50』と同じくフラットサイドボディですから、フラッシングは強いと思います。深い層でレンジキープしつつ強力なアピールが可能です。

編集部:装着のフックは何番ですか?

田崎:中軸の#10ですが、#8クラスに変更すれば、動きがおさえられる分より強い流れにも強くなると思います。

編集部:具体的にはどんな場面で有効でしょう?

スライドショーには JavaScript が必要です。

田崎:そうですね。魚がボトム付近に定位しているケースが一番使う頻度が高いと思います。低水温期の淵だったり、深瀬でもプレッシャーで魚が沈んでいる状況、あとは魚の意識が底に向いた秋鱒なんかにも有効です。一般的なボトム系ルアーよりもアピール力が強いので、使う場面は意外と多いと思います。つい先日も木曽川水系で、良型の秋鱒をこのルアーのプロトモデルで釣り上げました。

編集部:なるほど。コンセプト通りになった訳ですね。ところで、他の6㎝ミノーとの使い分けはどんな感じでしょうか?

田崎:得意なレンジとしては、上から『ルレイ62S(20~50㎝)』『ラクス60S(50~100㎝)』『ナビア62FS(80~120㎝)』の順になるかと思います。なので、オールラウンド性で言えば『ラクス60S』。表層や浅場でのアプローチには『ルレイ62S』。深場でのハイアピールには『ナビア62FS』といった使い分けになるかと思います.

ディープとHS-強化-SR

編集部:なるほど。先の2つに今回『ナビア62FS』が加わったことで、桂川など准本流域の攻略にも死角なしといったところですね。もちろん、利根川など川幅の広いフィールドでのスレた鱒の対策も兼ねていると……。

 

 

田崎氏が今年の秋にヒットさせた遡上鱒。ボトムでのハイピールが奏功した。
田崎氏が今年の秋にヒットさせた遡上鱒。ボトムでのハイピールが奏功した。

田崎:その通りです。

編集部:本日はありがとうございました。

田崎:こちらこそありがとうございました。ご期待ください。

ティムコ社で製品の開発プロモーションを担当する田崎翔氏。本誌でもお馴染みのアングラー。
ティムコ社で製品の開発プロモーションを担当する田崎翔氏。本誌でもお馴染みのアングラー。

【Nabia62FS(ナビア62FS)】

●Length:62㎜

●Weight:7.1~7.4g(予定)

●Type:FastSinking

●Hook:Black#10

●Ring:Black#1

●Color:12色

●Price:¥1,750(予定) (予定)

●発売予定:2024年3月

TIEMCO(ティムコ) https://www.tiemco.co.jp

Pocket
LINEで送る

The following two tabs change content below.
gijie
トラウトフィッシングマガジン「Gijie」編集部より、取材日誌や最新情報をお届けします。

INFORMATION

トラウトフィッシングに関するコンテンツを紹介。

Gijie ロゴ

Gijieについて

トラウトフィッシングマガジン「Gijie」(ギジー)の由来・発売日・最新号&バックナンバーについて紹介

Card image cap

名品ルアー誕生秘話

トラウトルアーフィッシングの歴史上に名を残す名品ルアーの誕生秘話を、開発の裏話を交えて紹介する

創刊1997年に釣れたヤマメ

メモリアル写真館

1997年のGijie創刊から編集部が出会った、思い出に残る大物たちや希少な魚たちを紹介する